三重県津市にあるカートランド三重というローカルコースがある。筆者が初めてレーシングカートに乗り始めたのがここのコースだった。古くからあるコースで、筆者を含めて親しみを込めて見当山と呼ぶ人も多い。レーシングカート人口の減少なども含めて、いろいろな状況も相まって閉鎖となるとのことだったので、ラストランを楽しんできた。
カートランド三重の紹介から
三重県にはレーシングカートが走行できるコースは4つある。
- 鈴鹿サーキット国際南コース(鈴鹿市)
- モーターランド鈴鹿(鈴鹿市)
- レインボースポーツ(桑名市)
- カートランド三重(津市)
それぞれのコースではカートレースのシリーズ戦が開催されている。(2021.1月現在、カートランド三重では行われておりません。)
もちろん鈴鹿サーキットが規模的には一番大きいのは確かだ。
全日本格式のレースも開催されている。
ローカルコースであるカートランド三重、レインボースポーツ、モーターランド鈴鹿を卒業したドライバーたちが次のステップで戦う場所として選ぶのが鈴鹿サーキットであったりもする。
三重県出身のレーシングドライバーというのは多くいるが、松田次生選手、伊藤大輔選手、ブノア・トレルイエ選手もカートランド三重を走ったことがあると聞いたことがある。
カートランド三重は非常に歴史あるカートコースの1つなのである。
カートを取り巻く環境の変化に伴い閉鎖
筆者が初めてカートに乗ったのはカートランド三重だった。
原点というか、ホームコースだと言える。
コース全長は630m、ラップタイムにして32秒くらいの長さのショートコースなのだが、ミスなくベスト走行で走りきることは本当に難しいものだ。
だからこそ、モータースポーツは面白い。
同じエンジン、同じタイヤでも、ドライバー次第でラップタイムに雲泥の差が生じてしまうのはモータースポーツの醍醐味の1つだと言える。

レーシングカートの競技人口は年々減少傾向にあると肌で感じている。
もちろんカートランド三重だけに限らず、どこのコースに行っても同じような状況である。
新規で始めるドライバーもいるのだが、筆者が現役でカートに乗っていたメンバーは活動を辞めてしまって、というケースの方が多いように思う。
そういう筆者自身もカートの世界から離れてしまった人のなかの1人であるのだが。
要因としては、景気の良し悪しの問題だったり、車に対する興味・運転することに対する興味などが薄くなる「車離れ」の問題もあるのだろう。
レース界独特の問題もあるのかもしれないと思っている。
レーシングカートは一番底辺のカテゴリーにはなるのだが、それでもやはり多くのお金がかかるのは紛れもない事実である。
モータースポーツ全体に言えることであるが、年間通して参戦するだけでも数十万の経費が必要になる。よほどの情熱がないとなかなか継続することは難しいのである。
また、年々パーツ代なども徐々に値上がりしており、お財布事情にさらなる圧迫を与えていることも問題である。
久しぶりに乗った本格的なレーシングカート
昨年2019年、1度だけレンタルカートの耐久レースに参戦させてもらったことがあるが、それはあくまでもレンタルカートの話。
今回のように、本格的なレース仕様のカートに乗ったのは2016年の夏以来、3年ぶりほどになる。
正直、前回のレンタルとは比べ物にならないほどしんどかった。

レーシングカートに乗る上で、何よりも体力の重要性を感じる経験者だからこそ、いきなりパッと乗ることには懸念もあった。
数ラップならと割り切っていたが、やはり現実はそんなに甘くなかった。
ステアリングに取り付けられた計測器のラップタイムがなかなか更新できず、2回のセッションで出せたベストラップは33秒6という、とても平凡すぎるタイムだったが、それでも十分楽しむことができた。
こういった機会を頂けた、カート関係の友人たちには本当に感謝したい。
レンタルとは比べ物にならない速度域
当たり前のことだが、やはり持ち込みのカートはレンタルカートとは比べ物にならないくらい速い。
ストレートはそんなに気にしなくていいが、連続して迫ってくるコーナーが確実に体力を奪うのである。
ブランクのあるドライバーの体にはきついものがある。

小さいコースであってもストレート区間はアクセル全開でコーナーに進入していく。小さなコースだからこそ、コーナーでのミスは大きなタイム損失となる。


馴染みの場所がなくなるのは寂しい
何についても言えることだが、なじみの場所がなくなるというものは辛い。
特に自分のお気に入りの場所だったり、原点である場合はなおさらだ。
ここ最近は、特にコロナウイルスの影響もあり、景気は決していいとは言えない。個人で事業展開しているところは大きな痛手である。
もし再興の機会があるのなら、是非復活を望みたいものである。閉鎖の一番の要因としては、お客さんの減少というだけに自分も責任を感じている。
【まとめ】カートランド三重自体はなくなっていない
2019年末の段階ではコースがなくなると聞いていたが、2021年1月の時点でコースはまだ存在していた。
ピット設備や、一部のタイヤバリアはなくなってしまっていたが、まだコース自体はなくなっていない。
2021年の年始に少し走行にお邪魔したが、数台のカートは走っていた。
いろいろな事情があると聞くが、1日でも長くレーシングカート好きの人の憩いの場であり続けることを切に願っている。